米、量的緩和を長期化=ゼロ金利政策据え置き―FRB 2020年12月17日

 【ワシントン時事】米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は16日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、米国債などを買い入れる量的緩和策を「雇用最大化と物価安定の目標へ十分に前進するまで続ける」方針を決めた。焦点だった拡充を見送る一方、金融緩和の長期継続を約束し、新型コロナウイルス感染再拡大で減速感が強まる景気を下支えする。
 会合後の声明は「景気は改善が続いたが年初の水準を大きく下回っている」との認識を踏襲した。政策金利は年0~0.25%に据え置き、量的緩和策で購入する米国債などの規模は月額計1200億ドル(約12兆円)のペースを維持する。決定は全会一致。
 パウエル議長は記者会見で、コロナ再拡大に強い懸念を示した上で、ワクチンの普及に「大きな試練と不確実性がある」と指摘。これまで「今後数カ月間」としていた量的緩和について、より長く続ける方針を明確に示したことは、「景気を下支えする強力なメッセージだ」と強調した。景気が悪化すれば、追加緩和も辞さない姿勢をのぞかせた。
 同時公表した政策金利見通しは、ゼロ金利が少なくとも2023年末まで続くとの中心シナリオが据え置かれた。23年末までに利上げを見込んだ参加者は17人のうち5人と、前回9月から1人増えただけにとどまり、ワクチン普及をめぐる景気への影響を慎重に見ていることが示された。 

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