国債依存度が6割突破=コロナで歳出膨張止まらず 2020年12月15日

 政府の2020年度の一般会計歳出は、3度の補正予算編成に伴い総額175兆円超と空前の規模に膨らむ。新型コロナウイルスの影響で税収が落ち込むため、歳入に占める国債依存度は初めて60%を突破。財政は異常事態だが、コロナ感染の「第3波」が続く中で政府・与党の危機感は乏しく、歳出増加の圧力は緩みそうにない。
 国債依存度は近年30%台で推移してきたが、20年度は2次補正後で56.3%と、リーマン・ショック後の09年度決算(51.5%)を上回り過去最高を更新。3次補正後はさらに64.1%まで上昇する。
 20年度の国債発行額は、前年度の3倍超の112兆5539億円に達する。赤字国債だけで約90兆円と、例年の一般会計の予算総額に迫る水準だ。しかし、与党内では「今は出し惜しみをする時期ではない」(自民党中堅議員)と積極財政を支持する声が目立つ。
 21日に閣議決定する21年度予算案では、国会の議決がなくても政府の判断で使用できる予備費を5兆円確保する予定。柔軟にコロナ対策を行う狙いがあるが、巨額予備費は財政規律の緩みを加速させかねない。
 21年度予算案の歳出規模は、過去最大だった20年度当初予算(102兆6580億円)を上回ることが確実。予算を査定する財務省は「思い切った歳出を求める声が予想以上に強い」(幹部)と頭を痛めている。
 20年度の債務償還や利払いに充てる国債費は3次補正後で23兆246億円と、当初段階から3269億円減少した。日銀の異次元緩和による金利低下の恩恵を受けた格好だ。しかし、財政が一段と悪化して国債の格付けが引き下げられれば、金利上昇を招く可能性も否定できない。
 東短リサーチの加藤出社長は「超低金利の長期化により、日本中で財政感覚のまひが起きている」と指摘し、「借金を増やしていくとどこかで限界を迎える」と警鐘を鳴らしている。 

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