電動化を意識=減税延長も燃費向上課題―税制改正 2020年12月10日

 2021年度税制改正では、燃費性能で自動車重量税の負担が変わるエコカー減税が2年間延長された。課税区分に新たな燃費基準を採用したが、対象車の割合は現状とほぼ同じだ。優遇対象から外れたクリーンディーゼル車(CDV)ではメーカーに配慮し、最長23年4月まで初回車検(購入時)にかかる重量税を免除する。ただ、CDVでは燃費性能向上への対応が必要で、メーカーにとっては政府が促す電動化を意識せざるを得ない内容となった。
 今回の改正では国内新車販売のうち7割が減税対象で、約25%は免税対象となる。電気自動車、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車は、車検の際にかかる自動車重量税が無条件で2回目まで免除される。ホンダ「フィット」など主なハイブリッド車(HV)も、購入者の税負担はこれまでと変わらない。
 日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は「自動車ユーザーの負担増を回避するとともに、国内市場の活性化にもつながる」と歓迎するコメントを発表した。
 一方、マツダ「CX―5」、三菱自動車「デリカD5」などCDVへの免税措置は2回目の車検からなくなる。初回車検(購入時)でも1~2年で終了し、その後も免税・減税を受けるにはHVと同様の燃費性能を求められる。
 CDVに強みを持つマツダは「燃費性能を改善しながら最新の基準への適合を進め、二酸化炭素(CO2)削減に寄与する」とし、対応を急ぐ。三菱自はこのほど改良した新型車で、従来のCDVに代えてPHVモデルを投入。同社は「ディーゼルは縮小の方向」(関係者)としている。政府は30年代半ば以降にガソリン車の新車販売禁止方針を掲げており、メーカーの新車開発に影響を与えそうだ。 

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