年明け、再びマイナス成長も=コロナ再拡大で正念場―経済対策 2020年12月08日

 内閣府が8日発表した2020年7~9月期の実質GDP(国内総生産)改定値は前期比5.3%増、この成長が1年続いた場合の年率換算で22.9%増だった。速報値から上方修正し、統計の残る1955年以降で過去3番目の伸びとなった。政府は同日、事業規模73.6兆円の追加経済対策を決定して新型コロナウイルスの打撃から回復を急ぐが、足元の感染再拡大で年明けに再びマイナス成長に転落する懸念もあり、日本経済は正念場を迎えている。
 GDPの5割強を占める個人消費は、前期比5.1%増(速報値4.7%増)に上方修正した。しかし、感染再拡大による飲食店などへの時短営業の要請で、1年で最も盛り上がる12月の消費を大きく下押しするなど、当面は明るい見通しを持ちにくい状況だ。
 内需のもう一つの柱である設備投資も、速報段階の3.4%減から2.4%減とマイナス幅が縮小したものの、水準は依然として低い。「企業業績悪化に伴って投資絞り込みの動きが継続する」(第一生命経済研究所)とされる。内外での感染再拡大が止まらなければ、実質GDPは21年1~3月期に再びマイナス成長に陥り「二番底」にはまる恐れがある。
 足元の実質GDP実額は年率換算で527兆円と、感染拡大前の19年10~12月期の水準から21兆円下回る。ニッセイ基礎研究所はこの水準を回復するには22年7~9月期までかかると試算する。
 21年度中にコロナ前の経済水準復帰を目指す菅政権は、デジタル化や脱炭素社会の実現などに巨額予算を投じる追加経済対策を決めたが、「短期的なGDP押し上げ効果はあまり期待しない方がいい」(農林中金総合研究所)との指摘が出ている。 

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