洋上風力、事業者選定開始=再エネ切り札、電力・商社応募へ 2020年11月27日

 政府は27日、千葉、秋田両県内の洋上風力発電「促進区域」を対象に事業者の選定手続きを始めた。2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロとする菅義偉首相肝煎りの重要政策実現に向け、二酸化炭素(CO2)を排出しない再生可能エネルギー普及の切り札との位置付け。申請期限の来年5月までに電力大手や総合商社、石油元売りなど少なくとも数十社が企業体をつくって応募する見込みだ。
 海外で実績があり、浅い海域で土台を海底に直接建てる「着床式」による洋上風力の公募事業は今回が初めてとなる。関連法に基づき指定された千葉県銚子市沖、秋田県能代市・三種町・男鹿市沖、同県由利本荘市沖(2区域)計4区域で、来秋にそれぞれ1業者を選定し、最長30年の占用を許可する。
 経済産業省によると、海面からの高さが200メートルに及ぶ風車を製造できる国内企業はなく、普及には海外大手メーカーの誘致がカギを握る。大規模になると約2万点の部品で構成される風車が数十基必要となり、製造能力を持つのはデンマークのヴェスタス社などに限られるという。
 政府は「裾野の広い部品製造分野の育成につながる」(経産省幹部)として、アジア市場向け拠点として海外大手の誘致活動に取り組む考え。青森、長崎両県の促進候補区域を含む追加指定も進め、日本市場の将来性をアピールする。 

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