地銀の6割が減益・赤字=102行の9月中間決算―8年ぶり低水準、コロナ響く 2020年11月20日

 地方銀行102行(単体ベース)の2020年9月中間決算が20日、出そろった。新型コロナウイルスの感染拡大で融資先の経営が打撃を受け、貸し倒れに備えた与信費用が膨らみ、純損益は6割に当たる60行で減益か赤字を余儀なくされた。国内で感染が再拡大しており、地元企業の業績が悪化すれば、地銀の収益も一段と厳しくなりかねない。
 102行の純利益の合計は前年同期比11.4%減の3993億円で、12年9月中間決算以来8年ぶりに4000億円を割り込んだ。赤字を計上したのは百十四銀行(高松市)、きらやか銀行(山形市)、福島銀行、東日本銀行(東京)、東京スター銀行の計5行だった。
 減益・赤字の主因は与信費用の増加で、全体で26.8%増えた。政府・日銀の資金繰り支援策などで企業倒産は一定程度抑制され、地銀からは「当初上半期の与信費用を70億円と見込んでいたが、20億円にとどまった」(柴田久静岡銀行頭取)との声も聞かれた。ただ、コロナ収束は見通せず、先行きは予断を許さない。
 銀行の主要業務から得られる資金利益は、実質無利子・無担保融資に注力したことなどから、ほぼ横ばいの1兆7771億円だった。一方、本業のもうけを示す実質業務純益は、緊急事態宣言に伴い金融商品の販売など営業活動の自粛を迫られたこともあり、3.8%減の6253億円と振るわなかった。 

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