デジタル化加速、コロナ後にらむ=主導権握れるか―楽天・西友連合 2020年11月16日

 米小売り大手ウォルマート傘下の西友が16日、楽天と米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)から出資を受けることで合意した。西友は楽天の支援を得てデジタル化を加速し、国内小売業界で主導権を握りたい考え。最大手イオンもデジタル対応を急ぐなど、新型コロナウイルス収束後を見据えた競争が激しさを増している。
 楽天と西友は2018年から「楽天西友ネットスーパー」を共同運営している。両社は今後さらに、アプリを利用した買い物や決済サービスの導入、在庫管理の効率化など、実店舗とオンラインの融合を推し進める戦略だ。
 流通各社もデジタル対応を強化している。イオンは英ネットスーパー大手オカドと提携し、ロボットなどを活用した物流倉庫の整備を進めている。食品スーパーのライフコーポレーションはインターネット通販大手アマゾンジャパン(東京)の物流網を活用し、リスクを抑えつつ商圏拡大を図るなど、各社ともネットスーパー事業を成長の柱に据えている。
 さらに、コロナ下では実店舗の資源を生かしたデジタル化の動きも進む。イトーヨーカ堂はグループのセブン―イレブンの店舗網を活用し、ネット注文した商品をコンビニの店頭などで気軽に受け取ることができる方式の展開を模索する。
 ただ、「レジなし決済」など消費者の行動を大きく変容させるような取り組みの実用化には時間がかかる。日本がデジタル化で先行する海外に追い付くには、ネットスーパーに加え、実店舗にいち早く根付かせることができるかがカギとなりそうだ。 

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