RCEP、91%関税撤廃=世界最大の自由貿易圏に―中韓と初の協定・15カ国署名 2020年11月15日

 日本と中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国など15カ国は15日、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉に合意、署名した。世界経済・貿易の3割を占める最大規模の自由貿易圏が誕生する。工業製品を中心に全体の関税撤廃率は91%に上る。日本はRCEPでアジアの広い地域に自由貿易を拡大し、経済成長の足掛かりとする考えだ。
 日本にとっては、中韓両国と初めて結ぶ経済連携協定(EPA)となる。貿易額で見ると、中国は最大、韓国は第3位の相手国。また、ASEAN各国には日本の自動車メーカーなどが多数進出しており、完成車や部品の関税がアジア広域で撤廃・削減されれば企業の国際展開に追い風となりそうだ。協定が発効すれば日本の貿易額に占めるEPA締結国の割合は8割弱となり、主要国で最高水準となる。
 RCEP15カ国の首脳は15日昼すぎからテレビ会議形式の会合を開き、日本からは菅義偉首相が参加。会合後に公表した共同首脳声明で「世界の貿易および投資ルールの理想的な枠組みへと向かう重要な一歩」とRCEPの意義を強調した。
 RCEPは、自動車をはじめ工業製品や農産品の関税撤廃、電子商取引、知的財産権の保護ルールといった幅広い分野にわたる。日本が「聖域」とするコメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖の農産品重要5項目は関税削減の対象から除外された。 

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東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定に署名する梶山弘志経済産業相(右)。左は菅義偉首相=15日午後、首相官邸(内閣広報室提供)
東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定に署名する梶山弘志経済産業相(右)。左は菅義偉首相=15日午後、首相官邸(内閣広報室提供)

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