今年度上期経常黒字、３６％減＝訪日客落ち込み５年半ぶり低水準 2020年11月10日
財務省が１０日発表した２０２０年度上半期（４～９月）の国際収支速報によると、海外とのモノやサービスの取引、投資収益の状況を示す経常収支の黒字額は、前年同期比３６．２％減の６兆６９０１億円となった。新型コロナウイルスの感染拡大で訪日外国人旅行者が急減。旅行収支を含むサービス収支の赤字幅が拡大したことが響いた。
黒字額は半期ベースで１４年度下半期（５兆８８６８億円）以来の低さとなった。今年度上半期の訪日客は９９．８％減となり、訪日客消費から日本人の海外旅行での消費を差し引いた旅行収支の黒字は前年同期の１割程度に縮小。これを受けてサービス収支の赤字は２兆２６６０億円と、前年同期の約７倍になった。
貿易収支は、９５億円の黒字（前年同期は１１０９億円の赤字）に転換した。輸入額の減少幅が輸出を上回った。企業が海外から受け取る配当や利子収入などを示す第１次所得収支は、１０兆３６３９億円の黒字で１０．７％減少した。
同時に発表された９月の経常収支の黒字は前年同月比４．２％増の１兆６６０２億円となり、７カ月ぶりに拡大した。自動車や自動車部品の輸出回復、エネルギー関連の価格低下が要因。