雇用復活が最優先=米政策、世界経済に影響―大統領選 2020年11月01日

 【ワシントン時事】米大統領選では新型コロナウイルス感染拡大で深く傷ついた経済を再生し、雇用回復を実現することが最重要テーマになる。日本を含め各国の景気に大きく影響を及ぼす米国の経済政策の行方を世界が注目している。
 トランプ大統領、バイデン前副大統領とも製造業を雇用の受け皿と位置付け、海外移転した企業の国内回帰を促進する方針では一致している。「米国第一」の内向き姿勢は、新たな貿易摩擦を生むリスクをはらむ。
 対照的なのが税制だ。トランプ氏は「大幅減税を続ける」と明言し、中間所得層に対する減税を約束。高成長と雇用拡大の実現により、コロナ不況で社会問題化した人種間の経済格差は解消されるとの立場だ。
 これに対しバイデン氏は、トランプ政権下の減税は「富裕層のための税制だ」と批判。高所得者や企業への増税を目指す。税制改革で所得再分配を強化し、格差是正や医療保険の公的支援拡充に取り組む。
 温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」離脱を決めたトランプ氏は、規制緩和の推進により石油やガスなどエネルギー産業への支援を一段と強化する方針だ。バイデン氏はパリ協定復帰を公約しており、環境インフラ投資で雇用創出を目指す。
 米経済は2月に景気後退期入りした。第2次大戦後の大統領選で2期目を逃した3人は、いずれも選挙前に景気後退に直面した。7~9月期の成長率はいったん急回復したものの、欧州に続き米国でも感染が再拡大し、先行きには不透明感が漂う。
 経済再開を重視するトランプ氏か、流行阻止を優先するバイデン氏か。コロナが今後の景気に与える影響をどう評価しているかも、有権者の重要な判断材料となる。 

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