事業者向け納税猶予、1年延長へ=コロナ収束見通せず―政府・与党 2020年10月28日

 政府・与党は、新型コロナウイルスの影響で売り上げが落ち込んだ事業者向けに特例的に納税を猶予する措置の対象について、現行の2021年1月末までの納付分からさらに1年程度延長する方向で検討に入った。新型コロナの収束が見通せない中、経営状況の悪化が長引き、資金繰りの厳しさが増す事業者の手元に現金が残りやすくするのが目的。猶予期間を延ばし、事業継続や雇用維持を促したい考えだ。
 納税猶予特例は、新型コロナの感染拡大を受け、政府が4月にまとめた緊急経済対策に盛り込まれた。業種の制限はなく、大小問わず全ての事業者が対象。
 国内で新型コロナの感染が拡大し始めた20年2月以降の一定期間、売上高が前年と同じ時期と比べおおむね20%以上減少したことが条件となる。国税の法人税や消費税、所得税、地方税の固定資産税など事業者に課されるほぼ全ての税目で、納税の猶予が認められる。
 国土交通省が9月、財務省に提出した21年度税制改正要望では、新型コロナで特に大きな打撃を受けている「交通運輸・観光業界」に限定した税制措置を求めていた。
 ただ、同業界では、鉄道会社が不動産を中核事業に位置付けるケースもあるなど、多様な事業を展開している事業者も少なくない。新型コロナの感染が今後も続けば、さまざまな業種で経営悪化が深刻になる可能性もあることから、業種は限定せず延長を認める公算が大きい。 

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