新型コロナ、拡大局面で大統領選へ=トランプ氏、シナリオ崩れる―米 2020年10月20日

 【ワシントン時事】来月3日の米大統領選まであと2週間となる中、米国で新型コロナウイルスの感染が再び拡大局面を迎えている。収束へ道筋を付け、景気回復やワクチン開発への明るい展望で選挙に臨むことを狙ったトランプ大統領のシナリオは頓挫。自身の対応を正当化するために専門家を攻撃するなど、発言の荒さが目立っている。
 「ファウチは大惨事だ。人々は彼や間抜けどもの言うことに飽き飽きしている」
 米メディアによると、トランプ氏は19日の電話会議で、感染症の権威で政権のコロナ対応を助言する国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長をかつてない激しい言葉で非難。「彼らの言うことを聞いていたら50万人が死んでいた」とも主張した。
 当初トランプ氏は「ウイルスは夏になればなくなる」と期待したが、6月以降第2波が襲い、9月に底を打っていた感染者は、ここへ来て再び急増。死者は計約22万人となり、1日700人前後が亡くなる状況が固定化している。トランプ氏のマスク着用を軽蔑する発言も国民に緩みをもたらしたと指摘される。
 こうした中、危機感を強めるトランプ氏は、コロナ克服へ「(最終)コーナーを回っている」と語り、先行きの明るさを強調する。これに対し、ファウチ氏は「気温の下がる冬に向け、米国は身構える必要がある」と国民に要請。水を差すように映るファウチ氏の発言に、トランプ氏は不満を募らせる。
 一方、民主党候補のバイデン前副大統領は19日に声明を出し、トランプ氏がコロナとの闘いで「白旗を揚げた」と同日の発言に言及。「道を示す指導者が米国には必要だったが、トランプ氏がしたこと全て自己愛だ」と非難した。 

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19日、米西部アリゾナ州ツーソンで、選挙集会に出席するトランプ大統領(AFP時事)
19日、米西部アリゾナ州ツーソンで、選挙集会に出席するトランプ大統領(AFP時事)

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