コロナ禍、非対面を武器に=大手行も注力、競争激化―ネット銀開業20年 2020年10月12日

 初のインターネット専業銀行としてジャパンネット銀行(東京)が開業して12日で丸20年。店舗を持たない低コストを武器に市場に浸透、ネット銀は10行近くに達する。新型コロナウイルス禍で非対面スタイルが強みに転じ、各行とも「今がチャンス」と口をそろえるが、大手行もネット事業を強化して競争が激化している。安全確保の高度化も求められる中、新たな成長戦略が問われている。
 ジャパンネット銀が誕生したのは2000年。「金融ビッグバン」による規制緩和の流れを受け、翌年から証券やIT、携帯電話などの異業種参入が本格化。常時取引や無店舗といった特徴を生かし、ジャパンネット銀は電子商取引や競馬など公営競技の決済、ソニー銀行は低金利の住宅ローンなど個人向けサービスで業容を拡大した。
 しかし、この間デジタル化の加速で金融環境は激変。ネット銀に出資する大手行自身がネット戦略に力を入れだしており、「相互補完関係にある」(三菱UFJ銀行)とするものの、ネット銀の間では警戒感が強い。
 システムの安定運営も不可欠だ。03年にほぼ丸1日利用できなくなるシステム障害を起こしたジャパンネット銀の田鎖智人社長は、安全と信頼の確保について「ずっと続く課題」と話す。
 こうした環境を踏まえ、ネット銀は近年、法人向けサービスに力を入れる。住信SBIネット銀行は今年8月、法人口座をネット上の手続きだけで開設できるようにし、新規口座の申し込みを倍増させた。ただ、野村総合研究所の中川慎プリンシパルは「今はサービスにあまり差がない。自行で開発するだけでなく、先進的なサービスを手掛ける企業との提携も重要だ」と指摘している。 

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