景気判断「下げ止まり」=1年3カ月ぶり上方修正―8月動向指数 2020年10月07日

 内閣府が7日発表した8月の景気動向指数(2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.1ポイント上昇の79.4となり、3カ月連続で改善した。基調判断は前月の「悪化」から「下げ止まり」に上方修正。判断が引き上げられたのは、2019年5月以来、1年3カ月ぶり。新型コロナウイルス感染拡大で落ち込んだ生産・輸出に持ち直しの動きが続いている。
 8月の一致指数は、速報値段階で反映させた8指数のうち、生産や輸出など6指数がプラスに寄与した。回復が続く自動車の生産・出荷が全体を押し上げた。
 西村康稔経済財政担当相は7日の記者会見で、判断の上方修正について「海外経済の回復に伴い生産・輸出が上向いている。工場のある地方経済にとってもプラスの動きだ」と評価した。
 ただ、指数の水準は、経済活動が停滞した3~5月の下落幅の4割弱の回復にとどまり、第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは「景気が感染拡大前の水準に戻るには相当の時間がかかる」と指摘した。
 基調判断は7月まで12カ月連続で景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」が継続。米中貿易摩擦や昨年10月の消費税増税の影響にコロナ禍が加わり、リーマン・ショック前の08年6月から11カ月続いた過去最長の「悪化」期間を更新していた。
 8月は数カ月先の景気を示す先行指数も2.1ポイント上昇し、88.8と3カ月連続で改善した。 

特集、解説記事