東京五輪、観光客入国を本格検討=「発熱センター」を設置―来春試行へ・政府 2020年10月03日

 政府は、来年夏に延期された東京五輪・パラリンピックに合わせ、外国人観光客の入国解禁に向け、本格的な検討に入った。新型コロナウイルス対策として、専用の「発熱センター」設置や、スマートフォンのアプリによる健康管理の徹底などが柱。早ければ来春から試行する。複数の政府関係者が3日、明らかにした。
 新型コロナの世界的な感染拡大を受け、政府は159カ国・地域を原則として入国を拒否する対象に指定している。ビジネス往来など一部で解禁しつつあるが、外国人観光客の受け入れを再開すれば、日本の水際対策の大転換となる。
 政府は現在、五輪開催に当たっての外国人観光客の入国・滞在・出国のプロセスを「ジャーニー」と名付け、各段階で具体的な対策を検討している。
 それによると、訪日を希望する外国人観光客に対し、各国の日本領事館などでのビザ(査証)取得時に、健康管理アプリのダウンロードを求める。さらに、出国前の検査で陰性証明を取得することや、入国後の新型コロナ感染に備えて民間医療保険に加入することなどを義務付ける。
 その上で、入国時の検査で陰性が確認されれば、国内での五輪観戦などを認める。入国後14日間はアプリを通じて健康状態の報告を求めるが、ホテルなどでの待機は免除する方向だ。
 入国した外国人観光客の健康管理は、国が「発熱健康相談サポートセンター(仮称)」を設置して対応する案が有力。各自治体の保健所が担った場合、国内の新型コロナ対策を圧迫する可能性があるためだ。開催都市の東京都の保健所に一括して対応させる案もある。
 政府は国内外の感染状況をにらみつつ、来年1月には対応策を取りまとめ、同4月から試行的に外国人観光客の受け入れを再開する方針。五輪終了後もこの仕組みを残し、海外からの観光需要の回復につなげることを目指す。
 ただ、外国人観光客の入国再開に向け、解決すべき課題は多い。五輪本番に向け、受け入れの規模をどうするかは、まだ白紙の状態。政府関係者は「今後の世界的な感染状況を見極める必要がある」と指摘する。
 日本のビザ免除の対象国で、アプリのダウンロードや出国前の検査をどう徹底させるかや、入国後の行動範囲をどこまで認めるかも、今後の論点となりそうだ。 

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