内需主導の回復見通せず=消費、設備投資総崩れ―4~6月期GDP、28%減 2020年09月08日

 内閣府が8日発表した2020年4~6月期の実質GDP(国内総生産)改定値は年率換算で前期比28.1%減と、戦後最悪の落ち込み幅となった速報値(27.8%減)から一段と悪化した。新型コロナウイルス感染拡大で企業の設備投資が急減速し、内需の柱である個人消費も力なく低迷する。政府が目指す内需主導の景気回復は見通せない。
 GDPの2割弱を占める設備投資は速報段階の前期比1.5%減から4.7%減へマイナス幅が拡大。企業業績の急速な悪化で投資の中止・先送りの動きが広がったためだ。
 鋼材需要の急減に直面するJFEホールディングスは21年3月期までの3年間に計画していた1兆円規模の設備投資額を1300億円圧縮。柿木厚司社長は「手元資金が厳しく、投資案件をすべて見直した」と説明する。三菱電機も自動車向け機器の需要減を受け、21年3月期の設備投資を前期より3割以上減らす。
 先行きも「資金繰り難にある中小企業を中心に投資抑制が続き、10~12月期までマイナスが続く」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)と厳しい見方が広がる。
 一方、GDPの5割強を占める個人消費は前期比7.9%減少。また、8日発表の7月家計調査では1世帯(2人以上)当たりの消費支出は、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比7.6%減と6月(1.2%減)から下げ幅が拡大した。
 民間エコノミストの予想では、7~9月期は記録的な落ち込みの反動で年率10%超のプラス成長が見込まれる。ただ、年末にかけて個人消費の失速や輸出鈍化で日本経済はゼロ成長に減速する恐れがある。感染が再拡大すれば「マイナス成長の可能性もある」(BNPパリバ証券)という。
 コロナ禍はリーマン・ショックを超える衝撃を日本経済に与えた。4~6月期の実質GDPは年率換算で484兆円と前期比41兆円減り、10年前の水準まで急激に収縮した。第2次安倍政権下のピークである19年7~9月期(539兆円)の水準を回復するのは「24年度までずれ込む可能性がある」(第一生命経済研究所)とされている。 

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