激戦州でトランプ氏追い上げ=バイデン氏との攻防本格化―情勢は不透明・米大統領選 2020年09月08日

 【ワシントン時事】11月3日の米大統領選は、9月の第1月曜日(今年は7日)の「レーバーデー(労働者の日)」を境に終盤戦へ突入した。共和党候補のトランプ大統領(74)は、民主党候補のバイデン前副大統領(77)を激戦州で追い上げる。新型コロナウイルスの感染拡大や黒人差別などで情勢が不透明さを増す中、両陣営の攻防が本格化してきた。
 政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス(RCP)」によると、各種世論調査の7日時点の平均支持率はバイデン氏49.9%に対し、トランプ氏42.8%と約7ポイント差。レーバーデーを劣勢で迎えた現職大統領は、再選を逃した1992年のブッシュ(父)氏以来。
 だが、トランプ氏は7日のツイッターで「世論調査はすごく良くなってきた。われわれは2016年より大勝利する」と書き込むなど強気だ。背景にあるのは、勝敗を左右する激戦州で自らに勢いがあるという自信だ。
 特に接戦が予想されるのはラストベルト(さび付いた工業地帯)と呼ばれるペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンの3州。RCPでは、ノースカロライナ、フロリダ、アリゾナを加えた6州を「激戦州」として扱い、いずれも前回はトランプ氏が勝利している。
 トランプ氏は7月下旬時点のこの6州の平均支持率で約6ポイント後れを取っていたが、その差を約3ポイントまで縮めた。選挙分析に定評があるクック・ポリティカル・リポートは、トランプ氏の「法と秩序」を守る訴えが浸透し「白人労働者のバイデン氏支持が揺らいでいる」と指摘する。トランプ氏は接戦に持ち込まれていた地盤のテキサス、ジョージア両州の世論調査でも再び勢いを見せる。
 民主党の前回候補のクリントン元国務長官はラストベルトにほとんど入らず、白人労働者の離反を招いた。バイデン氏は7日、ペンシルベニア州の労働組合を訪れ「米国をつくったのはウォール街でなく中産階級だ」とアピール。9日にはミシガン州も訪問する予定で、オンライン中心の消極的な選挙活動から軌道修正を始めた。 

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7日、ホワイトハウスで記者会見するトランプ米大統領(EPA時事)
7日、ホワイトハウスで記者会見するトランプ米大統領(EPA時事)
7日、米ペンシルベニア州ハリスバーグの労働組合を訪れたバイデン前副大統領(左)(AFP時事)
7日、米ペンシルベニア州ハリスバーグの労働組合を訪れたバイデン前副大統領(左)(AFP時事)

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