ゼロ金利、解除は23年以降=利上げハードル高まる―米FRB 2020年08月28日

 【ワシントン時事】米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は27日、インフレ圧力が一時的に高まっても、雇用が回復するまで金融を引き締めない新たな政策を決めた。利上げのハードルが上がったことで、ゼロ金利政策が解除されるのは2023年以降になりそうだ。
 FRBは、物価安定の目標を「インフレ率2%」から「長期的に平均2%」に改定。「2%を継続的に下回った後は、当面2%を小幅に超えることを目指す」と、政策運営の柔軟性を高める方針を打ち出した。
 FRBはバーナンキ議長時代の2012年に2%目標を採用した。好況で失業率が下がり、インフレ率が高まれば、FRBは景気過熱を防ぐために利上げし2%に抑えると受け止められた。
 だが、失業率は新型コロナウイルス危機の直前までは約50年ぶりの低水準となる一方、インフレ率は12年以降ほぼ2%以下で推移。政策金利も低下し、利下げ余地がなくなり景気浮揚が難しくなる「日本化」のリスクに直面した。
 FRB高官が6月に予測した22年末のインフレ率は1.7%にとどまる。9月の金融政策会合で23年末までの見通しを示すが、市場では「24年半ばまでゼロ金利は続く」(英オックスフォード・エコノミクス)との観測もある。
 パウエル議長は27日の講演で、新政策は「インフレ加速を引き起こさず、しっかりとした労働市場を維持できるとの見解を反映している」と説明。コロナ危機で悪化した失業率が改善しても、ゼロ金利を長く続ける方針を強調した。 

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