「バイデン大統領」で株波乱も=トランプ政策見直し警戒―東京市場 2020年08月15日

 11月の米大統領選では、民主党候補に固まったバイデン前副大統領のリードが伝えられる。大企業寄りとされる現職トランプ氏の経済政策の見直しを唱えるバイデン氏が勝利すれば、米国株安に巻き込まれる形で東京株式市場も波乱に見舞われかねない。
 バイデン氏は経済格差是正を掲げ、トランプ氏が景気浮揚策の目玉として引き下げた法人税率を現行の21%から28%に上げると主張。福祉充実の財源として富裕層への課税強化も唱えている。増税は配当金の原資である利益を減らし、「株価のネガティブ要因」(壁谷洋和大和証券チーフグローバルストラテジスト)となる。世界の株式市場は連動する傾向を強めており、米株下落は日本へ波及する可能性が高い。
 野村証券は5日、今年12月までの日経平均株価が2万~2万5000円で推移するとの予想をまとめた。大統領選をリスク要因に挙げ、「市場が政策変更を前倒しで織り込んだ場合、米国株を崩し、日本株の下押し要因になる可能性がある」と指摘した。
 もっとも、新型コロナウイルス対策で日米欧などの中央銀行は大量の資金供給を継続中だ。米大統領が代わっても世界的なカネ余りは変わらず、「株式市場が荒れてもすぐに安定を取り戻す」(上野泰也みずほ証券チーフマーケットエコノミスト)との見方もある。
 中長期的に、株価に影響するのが貿易や安全保障をめぐる米国と中国の対立。トランプ氏は対中強硬姿勢を崩さず、バイデン氏も中国の不公正貿易慣行の是正を掲げ、どちらが当選しても米中対立は収まりそうにない。
 米大統領選では3選が禁じられており、トランプ氏続投のケースでは次回(2024年)の選挙を意識する必要がなくなる。このため、「より過激な保護貿易政策を打ち出し、市場が不安定化する恐れがある」(大和証券の壁谷氏)という。 

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