勝敗確定ずれ込みの恐れ=郵便投票増加で―米大統領選 2020年08月08日

 【ワシントン時事】11月3日の米大統領選で、勝敗が同日深夜や翌朝に判明しない恐れが現実味を帯びてきた。新型コロナウイルス流行の影響で利用が大きく増えると見込まれる郵便投票は開票に時間がかかり、接戦となった場合にメディアが勝者を確定できない状況が長期化するとみられるためだ。
 「選挙日というより『選挙週』、いや『選挙月』への準備が必要かもしれない」。米シンクタンク・ブルッキングス研究所は最近の報告書で「長期戦」への覚悟を促した。
 機械を使って行われる通常の開票作業と異なり、郵便投票では一般的に署名を確認し、封を開け、投票用紙を分類するという工程が手作業で行われる。米メディアによると、大半が郵便投票で実施された3月の民主党カリフォルニア州予備選は、580万票のうち当日開いたのは300万票、残りの開票に7週間かかった。
 共和党か民主党の地盤であればその州の「勝者」を確定するのに時間はかからないとみられるが、問題は激戦州だ。4年前の得票率差が1ポイント以内だったミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシンの3州は今回、コロナ禍で郵便投票の要件を緩和し、利用急増が確実。投票日前から郵便投票の開票を始められるよう目指す動きもあるが、抜本的解決策は見当たらない。
 当日優勢とみられた候補が、数週間後に確定した勝者と違った場合、「結果への不信が生まれ、陰謀論が入り込む」と指摘する専門家もいる。
 トランプ大統領は、3日放送された米メディア「アクシオス」のインタビューで「勝者が2カ月後に決まることだってあるかもしれない。もし接戦だったら、いろいろなことが起こり得る」と語った。負けた場合、「不正」を理由に結果を受け入れないのでは、といぶかる声もある。 

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