ジョンソン英首相、評価割れる=新型コロナ対応に遅れ―EU離脱は実現・就任1年 2020年07月23日

 【ロンドン時事】ジョンソン英首相が昨年7月に就任してから24日で1年。最重要課題の欧州連合(EU)離脱は1月末に実現したものの、新型コロナウイルスへの対応では遅れが出た。国内の死者数は計4万6000人に迫り、欧州で最悪。首相に対する国民の評価は割れている。
 「力強い指導力を発揮し、この国を良い方向へ変えていく」。昨年7月24日、エリザベス女王の首相就任要請を受諾したジョンソン氏は第一声で決意を表明した。
 言葉が実行に移されたのは同年10月。ジョンソン氏は下院で三たび否決されたメイ前首相の離脱案を破棄し、新たな離脱案でEUと一気に合意。EU残留派の野党から下院解散への同意を得ると、同年12月の総選挙で与党保守党をサッチャー元首相以来の大勝に導いた。上下両院は離脱案を可決。英国は今年1月31日、EUを離脱した。
 ただ、この1月31日は、くしくも英国内で初めて新型コロナの感染例が確認された日でもあった。感染は瞬く間に拡大したが、首相は市民生活や経済活動の制限をためらい、ロックダウン(都市封鎖)が3月下旬にずれ込んだ。4月には首相自ら感染で入院し、公務復帰に3週間を要した。
 ユーガブ社の世論調査によると、首相は容体を心配された当時こそ支持率が66%に急伸したが、長続きせず、7月は44%に低下。一方で不支持率は50%に達した。
 背景には、医師・看護師の防護服調達をめぐる政府の失態などがある。5月には英死者数がイタリアを上回り欧州最多となったほか、ジョンソン氏の側近のカミングス首相上級顧問が外出禁止令を無視して観光地を訪れた問題も発覚。国民が首相に厳しい目を向けた。
 ロンドン大学クイーン・メアリー校のティム・ベール教授は「景気回復に手間取ったり、コロナ対策で責任を問われたりすれば(首相は)困ったことになる」と予想した。 

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演説後に手を振るジョンソン英首相=2019年7月、ロンドン(AFP時事)
演説後に手を振るジョンソン英首相=2019年7月、ロンドン(AFP時事)
英バッキンガム宮殿で、エリザベス女王(右)に迎えられたジョンソン首相=2019年7月、ロンドン(AFP時事)
英バッキンガム宮殿で、エリザベス女王(右)に迎えられたジョンソン首相=2019年7月、ロンドン(AFP時事)

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