景気、下げ止まりつつある=2年5カ月ぶり改善―消費持ち直し・6月経済報告 2020年06月19日

 政府は19日、6月の月例経済報告を公表した。景気の全体判断は「新型コロナウイルス感染症の影響により、極めて厳しい状況にあるが、下げ止まりつつある」と指摘。2018年1月以来、2年5カ月ぶりに全体判断を改善させた。今年4、5月はリーマン・ショック以来約11年ぶりに「悪化」と表現したが、緊急事態宣言の全面解除に伴う個人消費の持ち直しなどを反映させた。
 消費については、マインドの悪化に歯止めがかかり、「このところ持ち直しの動きが見られる」に上方修正。外食売上高や新幹線利用者数が底打ちに転じた。企業の業況判断も「厳しさは残るものの、改善の兆しが見られる」に引き上げた。
 海外経済は、中国の回復基調などを背景に「極めて厳しい状況にあるが、下げ止まりつつある」に改善した。
 西村康稔経済財政担当相は記者会見で、「内需中心に経済を回復させていきたい」と述べた。 
 全体判断は18年1月に「緩やかに回復している」と上方修正された。この表現は、長引く米中貿易摩擦や自然災害などを踏まえて一部が変更されつつも、今年2月まで残り続けた。しかし、世界的な新型コロナ感染拡大の影響で3月に削除し、「厳しい状況」に下方修正した。
 宣言解除に次いで、都道府県をまたぐ移動の自粛も19日に全面解除。月例報告は先行きについて、2020年度第1次・2次補正予算を含む巨額の財政出動効果をにらみ「極めて厳しい状況から持ち直しに向かうことが期待される」に改めた。ただ、内閣府幹部は「景気浮揚の力があるかは今後次第」と話している。

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月例経済報告等に関する関係閣僚会議に臨む安倍晋三首相(左から2人目)=19日午前、首相官邸
月例経済報告等に関する関係閣僚会議に臨む安倍晋三首相(左から2人目)=19日午前、首相官邸

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