株価乱高下、「物差しない相場」=実体経済と隔たり、短期利益重視 2020年06月18日

 株式相場が荒い値動きを見せている。新型コロナウイルスをめぐる先行き懸念が根強く、投資家が短期志向を強めていることが振れ幅を大きくする一因だ。一方、株価水準は各国の金融緩和策にも支えられ、期待先行との見方がある。「物差しのない相場」(野村証券の神谷和男投資情報部課長代理)との声も上がっており、市場の動揺は容易に収まりそうにない。
 コロナショックで内外の株価は暴落。年初2万4000円台の高値圏にあった日経平均株価は3月、一時1万6000円台まで値下がりした。新型コロナ感染拡大の勢いが衰えない半面、内外の株価回復ペースは速かった。主要各国が大胆な緩和策や財政政策を打ち出し、あふれ出した資金が株式市場へ流入。実体経済の復調がおぼつかない中、相場はワクチン開発進展や経済活動再開などの動きを歓迎した。
 日経平均は5月中旬から急ピッチに上昇。6月8日には約3カ月半ぶりに2万3000円台を回復した。ところが、このところ値動きは激しく、15日に前営業日比774円安と急落した翌16日には1051円高と急騰するなど目まぐるしい。
 「新型コロナの感染再拡大への懸念」「世界経済を引っ張る米国の財政金融政策への期待」と株価を動かす材料はあったものの、振れ幅の大きさはそれだけでは説明がつかない。みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリストは「中長期で運用する投資家は様子見で、短期筋の取引に振り回されている」と指摘する。
 新型コロナによる経済や企業業績への影響など読み切れない要素が多く、短期収益を重視する海外投資家らが主導して相場が一方向に流れやすくなっている。日経平均の値動きが増幅されて利益が出る投資信託が人気を集めており、こうした金融商品が振れ幅拡大につながっているとの見方もある。
 長期運用を手掛ける投資家が二の足を踏み、市場参加者が偏ると、値動きは一段と激しくなる。企業の資金調達や年金資金の運用にも影響が出る恐れがありそうだ。 

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