訪日客、過去最少1700人=5月も99.9%減―インバウンド復調見通せず 2020年06月17日

 日本政府観光局が17日発表した5月の訪日外国人数(推計値)は前年同月比99.9%減の1700人で、1964年の統計開始以来、過去最少となった。99.9%の減少幅は4月に続き2カ月連続。新型コロナウイルス流行で各国が実施している出入国制限が影響し、日本経済を潤してきた訪日外国人旅行者(インバウンド)はほぼゼロとなっている。
 入国者の多くは日本で在留資格を持つ外国人とみられる。欧米では新型コロナの感染拡大で停止していた経済活動を再開する動きが広がっているが、海外からの旅行客数の復調は見通せていない。 
 訪日外国人数は4月に2900人と初めて1万人を割り込んだ。コロナ禍で国際的な人の行き来や物流の停滞が続いた5月はさらに減少し、記録的な低水準に落ち込んだままだ。
 国・地域別に見ると、中国が30人(前年同月は約75万6000人)、韓国は20人(同約60万3000人)だった。台湾や香港、タイなど多くの訪日客を送り出していた国・地域は軒並み10人未満となった。
 田端浩観光庁長官は17日の記者会見で「世界各国で旅行需要が失われた非常に厳しい状況だ」という認識を示した。その上で「各国の入国制限の緩和の流れも踏まえ、今後の観光政策を進めたい」と話した。政府はコロナの感染状況が落ち着いているベトナムなど4カ国と制限緩和を調整している。
 一方、19日には都道府県をまたぐ移動自粛要請が解除される見通しで、国内旅行者の増加が期待されている。ただ、「往来の急増に抵抗感を抱く人がいるかもしれない」(宿泊業界関係者)との懸念も出ている。

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