5月の輸出、28.3%減=貿易停滞、10年8カ月ぶり下落幅―財務省 2020年06月17日
財務省が17日発表した5月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額は前年同月比28.3%減の4兆1848億円だった。新型コロナウイルスの影響で貿易が停滞し、リーマン・ショック後の2009年9月(30.6%減)以来、10年8カ月ぶりの下落幅を記録した。欧米、アジア向けに自動車や自動車部品、機械などの不振が続いた。
輸出は18カ月連続で減少し、国・地域別では、米国向けが50.6%、欧州連合(EU)は33.8%、中国を含むアジアが12.0%、いずれもマイナスとなった。新型コロナ収束の兆しもある中国向けは半導体製造装置などが振るわないものの、1.9%減と4月(4.0%減)からは改善した。
一方、輸入額は26.2%減の5兆182億円。市況悪化に伴う中東の原油や、米国から航空機の輸入が落ち込んだ。ただ、中国を中心にマスクを含む織物用糸・繊維製品は2.4倍に伸びた。
この結果、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は8334億円の赤字だった。赤字は2カ月連続。このうち、米国向けは103億円の黒字を確保したが、黒字額は1979年以降で最少だった。
◇5月の貿易統計
輸出額 輸入額 差引額
総 額 41,848 50,182 ▲ 8,334
(▲28.3) (▲26.2) ( ― )
〔主要貿易相手別の内訳〕
中 国 11,262 15,113 ▲ 3,851
(▲ 1.9) (▲ 2.0) ( ― )
米 国 5,884 5,782 103
(▲50.6) (▲27.5) (▲97.4)
E U 3,638 5,752 ▲ 2,113
(▲33.8) (▲29.6) ( ― )
(注)通関ベース。単位億円、億円未満四捨五入。カッコ内は前年同月比増減率%。▲は赤字または減。―は比較できず