資金繰り支援110兆円に=日銀総裁「必要に応じ拡充」―22年度まで超低金利継続 2020年06月16日

 日銀は16日、新型コロナウイルスに対応した企業の資金繰り支援策の総枠を75兆円から110兆円規模に拡大すると発表した。金融政策決定会合後の声明で「わが国の景気は極めて厳しい状態にある」として、景気判断を事実上、下方修正。記者会見した黒田東彦総裁は「必要に応じて拡充を検討していく」と述べた。
 会合では、政策金利をマイナス0.1%とし、長期金利を0%程度に誘導する長短金利操作を柱とする金融政策を据え置いた。黒田総裁は「2021年度であれ22年度であれ、金利を引き上げる状況にはなかなか遠い」と述べ、景気回復に向けて現在の超低金利政策を継続する姿勢を示した。
 110兆円のうち20兆円は、大企業が発行する社債やコマーシャルペーパー(CP)の買い入れ。残り90兆円は、中小企業や零細企業を中心に運転資金などを貸し出す金融機関への資金供給となる。資金供給は55兆円だったが、政府の今年度第2次補正予算成立を受けて35兆円積み増した。
 20兆円の社債とCPの買い入れ枠は21年3月末まで。黒田総裁は「必要があれば、いくらでも延ばせる」と語った。新型コロナ対策についても「ある程度長期に資金繰り支援や市場安定化に努める覚悟だ」と述べた。
 景気の見通しについては、「感染が収束すれば経済対策に支えられて改善するという先行きの基本的な見方は、4月時点から大きく変わっていない」と強調。経済・物価情勢の展望(展望リポート)をまとめる来月の次回会合で、コロナ禍からの回復の道筋を点検する考えを示した。 

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記者会見で質問者を指名する黒田東彦日銀総裁=16日午後、東京都中央区
記者会見で質問者を指名する黒田東彦日銀総裁=16日午後、東京都中央区

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