米ゼロ金利、22年末まで継続=雇用改善鈍く緩和長期化―FRB 2020年06月11日

 【ワシントン時事】米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は10日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、事実上のゼロ金利と量的緩和の維持を決めた。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気悪化で、失業率が高止まりするとのシナリオも公表。ゼロ金利を少なくとも2022年末まで継続するとし、金融緩和の長期化を見込んだ。
 会合後の声明は、感染拡大が「景気の中期見通しへの大きなリスク」と指摘。金利を年0~0.25%に保つ現行政策は「雇用最大化と物価安定という目標の達成が確信できるまで維持する」と改めて表明した。米国債なども「現行ペース」で買い入れ、量的緩和を続ける。
 パウエル議長は記者会見で、5月の雇用統計の改善を踏まえ、景気が一部で持ち直している兆しがあると述べた。しかし「人々が(感染リスクの回避に)安心感を持つまで景気は完全に回復しない」と強調。失業者の復職に数年かかるとし、「利上げを検討することさえも考えていない」と明言した。 
 FRBはまた、3月に見送った四半期ごとの経済見通しを半年ぶりに改定。会合参加者17人の中心シナリオでは、今年の成長率がマイナス6.5%に落ち込み、21年にプラス5.0%に回復すると予測した。
 一方で失業率は、今年が9.3%、21年が6.5%、22年でも5.5%と緩やかな改善にとどまると想定。現行のゼロ金利が少なくとも22年末まで続くと見込んだ。
 FRBは感染「第2波」の発生などによる景気回復の失速を警戒し、リスクに備えて金融緩和効果を高める追加策を検討している。日銀などが採用する国債利回りへの目標設定は、導入した場合の効果に「疑問が残っている」(パウエル議長)として、慎重に議論を進める。

 ◇米金融政策会合のポイント
 一、事実上のゼロ金利と量的緩和の維持を全会一致で決定
 一、新型コロナウイルス感染拡大は景気の中期見通しにリスク
 一、ゼロ金利は少なくとも22年末まで維持と想定
 一、20年成長率マイナス6.5%、失業率9.3%と予想
 一、雇用最大化と物価目標の実現のめどが付くまで金利維持
 一、米国債など資産買い入れは現行ペースを維持
 一、景気下支えへあらゆる手段を講じる
 一、FRB議長、低金利誘導策の導入効果に「疑問残る」
 一、FRB議長、現在は「利上げを検討することすらない」

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