ＧＤＰ、年２．２％減に上方修正＝設備投資が押し上げ―１～３月期改定値 2020年06月08日
内閣府が８日発表した２０２０年１～３月期の国内総生産（ＧＤＰ、季節調整済み）改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比０．６％減、この成長ペースが１年間続いた場合の年率換算では２．２％減だった。設備投資が底堅く、先月発表の速報値（前期比０．９％減、年率３．４％減）から上方修正された。
都市開発関連の投資が底堅かった法人企業統計調査などの最新データを反映。設備投資は速報段階の前期比０．５％減から１．９％増に転じ、ＧＤＰへの寄与度もプラスになった。
西村康稔経済財政担当相は記者会見で、直近の同調査の回収率低下を指摘しつつも「厳しい環境の中で前向きな投資が行われている」と述べ、設備投資の底堅さを評価した。
ただ、新型コロナウイルスの感染拡大で個人消費が０．８％減、輸出は６．０％減と振るわず、国際的に「テクニカル・リセッション（景気後退）」とみなされる２四半期連続のマイナス成長に変わりはない。
４～６月期の実質ＧＤＰは、全国に緊急事態宣言が出された影響でさらに落ち込み、戦後最悪とされるリーマン・ショック後の０９年１～３月期（年率１７．８％減）の下落幅を上回るとの市場予測がある。
物価動向の影響を反映し、生活実感に近い名目ＧＤＰ改定値は前期比０．５％減、年率１．９％減となり、速報値（前期比０．８％減、年率３．１％減）から上方修正した。
一方、１９年度の実質ＧＤＰは前年度比０．０３％増（速報段階で前年度比０．１％減）とわずかに上方修正した。名目は０．８％増（同０．７％増）となった。
◇１～３月期のＧＤＰ改定値
◇実質成長率 ▲０．６（▲０．９） 年率換算 ▲２．２（▲３．４）
◇寄与度 内需 ▲０．４（▲０．７）
外需 ▲０．２（▲０．２）
◇主要項目
個人消費 ▲０．８（▲０．７）
住宅投資 ▲４．２（▲４．５）
設備投資 １．９（▲０．５）
民間在庫 ▲０．１（▲０．０）
公共投資 ▲０．６（▲０．４）
輸出 ▲６．０（▲６．０）
輸入 ▲４．９（▲４．９）
◇名目成長率 ▲０．５（▲０．８） 年率換算 ▲１．９（▲３．１）
（注）カッコ内は速報値。数値は前期比伸び率％、寄与度は％。民間在庫は成長率への寄与度。▲はマイナス