10兆円「白紙委任」変わらず=政府、予備費半額の大枠明示 2020年06月05日

 政府は5日、新型コロナウイルス感染に対応する2020年度第2次補正予算案に盛り込んだ予備費10兆円のうち、5兆円分の使途の概要を与野党に示した。「政府への白紙委任」との野党の批判を受けたものだが、あくまで大枠を示したに過ぎず、残る5兆円も政府の裁量で支出可能。野党側は週明けの予算審議で徹底追及する構えだ。
 概要によると使途は、雇用調整助成金などの雇用維持・生活支援に約1兆円▽持続化給付金や家賃支援給付金などの事業継続に約2兆円▽地方向けの医療・介護等の交付金など医療提供体制強化に約2兆円。8日の財政演説でも説明される。
 ただ、概要だけでは具体的な使途、予算額まで明確になることはない。財務省出身の自民党閣僚経験者は「大枠は数字のうちに入らない」と語り、使い道は縛られないとの認識を示す。
 菅義偉官房長官も記者会見で「予備費は予見し難い予算の不足に充てるため措置するものだ。示された使途も幅を持って見る必要がある」との考えを示した。
 野党は政府が概要を示したことについて一定の評価をしているものの、不十分との立場だ。
 国民民主党の舟山康江参院国対委員長は会見で「大枠を決めたところで、つかみ金という位置付けは何も変わっていない」と批判。同党の渡辺周衆院議員は記者団に「感染対策の名の下に何でもできるようではいけない。予算審議で歯止めをかける」と強調した。
 共産党の田村智子政策委員長は会見で、大枠提示について「政府・与党が予備費10兆円には問題があると認めた」と指摘した。 

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