非正規、最大の減少=強まる雇用先行き懸念―4月の労働力調査 2020年05月29日

 総務省が29日発表した4月の労働力調査では、非正規労働者数が前年同月比97万人減と、比較可能な2014年以降で最大のマイナスとなった。緊急事態宣言で営業自粛を迫られ、飲食店などがパートを減らしているためだ。従業員を解雇せずに休ませている企業も少なくないが、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化すれば持ちこたえるのは難しい。雇用情勢が一気に悪化する恐れもありそうだ。
 就業者数全体も7年4カ月ぶりに減少。産業別では宿泊・飲食サービスが46万人減った。雇用形態別では、パートのほか、アルバイトや契約社員の減少が目立つなど、正社員以外で影響が大きい。
 厚生労働省によると、新型コロナによる解雇や雇い止めは28日までで1万5823人。4分の3強が5月以降と増加ペースが速まる中、「失業が今後、増加の一途をたどるのではないか」(神津里季生連合会長)との懸念は根強い。
 一方、4月の完全失業率は前月比0.1ポイント上昇の2.6%と、ゆるやかな悪化にとどまっている。厳しい業種はあるものの、「人手不足の中で(人員を)カットすれば後が大変だから、何とか従業員だけは維持しようと頑張っている」(日本商工会議所の三村明夫会頭)という企業も多く、実際に休業者数は597万人と過去に例がない水準に膨れ上がっている。
 休業者が解雇されれば、失業率の急上昇は避けられない。こうした状況を踏まえ、政府は休業手当を出した企業に支給する雇用調整助成金の上限額引き上げを第2次補正予算案に計上。「何とか雇用を維持してほしい」(厚労省)と、懸命の働き掛けを続けている。 

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