日銀、国債残高500兆円突破=新型コロナで加速、GDP超えも 2020年05月28日

 日銀の国債保有残高(国庫短期証券を含む)が初めて500兆円を突破したことが28日、分かった。大規模な金融緩和の一環として大量の国債買い入れが長期化していることが背景。日銀は新型コロナウイルス対応で国債購入をさらに積極化する方針で、名目GDP(国内総生産、2019年度末は約552兆円)に匹敵する規模も視野に入ってきた。
 日銀が13年4月に「異次元緩和」を導入した時点の国債保有残高は約130兆円だった。その後、日銀は目標に掲げた2%の物価上昇の実現に向け国債の購入を続けたが、目標を達成できないまま、保有額は7年で4倍近くに膨らんだ。 
 日銀は4月の金融政策決定会合で、政府の緊急経済対策を踏まえ、国債の買い入れ上限を撤廃。今月22日には麻生太郎財務相と黒田東彦日銀総裁の共同談話を発表し、政府との連携を強化している。
 ただ日銀による大量の国債購入は、国の借金を中央銀行が穴埋めする事実上の「財政ファイナンス」となることを危ぶむ声がある。また、市中に出回る国債は日銀の買い占めを受けて金利が低下(価格は上昇)し、償還が10年よりも短い債券はマイナス利回りが定着。債券市場の機能低下も懸念されている。

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