コロナ響き7割が減益=純利益、9年ぶり低水準―地銀102行 2020年05月27日

 地方銀行全102行の2020年3月期決算(単体)が27日、出そろった。純利益の合計は前期比10.9%減の6652億円となり、東日本大震災が発生した11年3月期以来9年ぶりの低水準。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う株価下落や貸し倒れに備えた与信関係費用の増加が響き、全体の約7割にあたる69行が減益、7行が赤字に転落した。
 長引く低金利と人口減による収益低迷に、コロナ禍が追い打ちをかけた格好。ただ、影響が本格的に織り込まれるのは21年3月期以降で、経済の回復が遅れれば取引先企業の倒産が急増しかねない。地銀経営は正念場を迎えている。 
 与信費用は、前期に不正融資問題で巨額費用を計上したスルガ銀行を除く実質ベースで7割増。有価証券関係益は全体で4割超減少した。予防的に与信費用を8倍に増やした熊本銀行や、株式売却・償却で48億円の損失を計上した清水銀行などが赤字に陥った。
 収益源である資金利益は、貸出金利と預金金利の差である「利ざや」の縮小が続き、2.6%減。一方、本業のもうけを示す実質業務純益は、経費削減などが奏功し4.4%増えた。
 21年3月期の純利益は、通期予想を公表している97行ベースで、5.2%減の計5979億円。ただ、先行きは「あまりに不透明」(横田格富山第一銀行頭取)で、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の安岡勇亮氏は「下振れリスクが大きい」と分析している。

 ◇地銀102行の20年3月期単体決算
            前期比(%)   合計額(億円)
 資金利益       ▲2.6     35,374
 実質業務純益      4.4     12,360
 与信関係費用      0.9      3,300
(除くスルガ銀行)   71.8      3,276
 純利益       ▲10.9      6,652

特集、解説記事