2次補正、最大の歳出32兆円=医療強化や家賃支援―コロナ危機克服へ閣議決定 2020年05月27日

 政府は27日、新型コロナウイルス流行による社会・経済への影響を緩和する2020年度第2次補正予算案を閣議決定した。一般会計の歳出総額は補正予算として過去最大の31兆9114億円。医療体制の強化や企業の家賃支援が柱。民間融資なども含めた事業規模は117.1兆円に上る。1次補正などと合わせ230兆円超の巨額な対策を講じ、コロナ危機の克服に全力を挙げるが、生活苦に陥った人に速やかにお金が行き渡るか政策の実効性が問われる。
 安倍晋三首相は同日、決定に先立つ政府・与党の政策懇談会で「厳しい状況にある方々に、支援を迅速にお届けすることが重要」との決意を示した。政府・与党は、6月17日までの通常国会会期中の成立を目指す。 
 2次補正の財源は全額国債発行で賄う。このうち、赤字国債は22兆6124億円。20年度予算の歳入に占める国債の割合を示す国債依存度は補正後で56.3%と、リーマン・ショック後の09年度(52.1%)を上回り過去最高となる。
 2次補正の一般会計では、医療関連の経費を2兆9892億円とした。このうちコロナ感染者の治療に当たる医療機関などへの緊急包括支援交付金は2兆2370億円と、1次補正(1490億円)の15倍相当を増額。ワクチン、治療薬の開発などの支援には2055億円計上した。医療従事者らに最大20万円の現金給付も行う。
 緊急事態宣言の発令で客足が遠のき、売り上げが急減した中小・個人事業者に家賃の3分の2を半年分支給するため、2兆242億円を投じる。
 経営が悪化した企業の資金繰り支援は計11兆6390億円。日本政策金融公庫や民間銀行などが行っている無利子・無担保融資の規模を大幅に拡充。政府系金融機関などを通じた資本に近い性格の劣後ローンや出資枠を拡大し、財務基盤を支える。
 労働者の生活維持にも力を注ぐ。仕事を休ませる代わりに休業手当を支払った企業に支給する雇用調整助成金について、日額上限を現行の8330円から1万5000円に引き上げる。休業手当がもらえない従業員が自ら支給を申請できる給付金制度も創設。一連の措置に4519億円を充当する。
 1次補正で1兆円計上した地方自治体への臨時交付金は、2兆円増額し計3兆円とする。また、20年度中にコロナ対策で使用できる予備費を10兆円積み増す。
 児童扶養手当を受けている低所得のひとり親世帯に5万円を給付するほか、収入が減少した事業者への持続化給付金はフリーランスも受給しやすいよう要件を緩和。遠隔教育やテレワークを推進するため、全国で光ファイバー回線網整備も進める。

 ◇2次補正のポイント
 一、一般会計の歳出総額は補正予算として過去最大の31兆9114億円
 一、事業規模は117.1兆円、1次補正などと合わせ230兆円超
 一、赤字国債22兆6124億円を追加発行
 一、売り上げが急減した事業者に家賃の3分の2を半年支給
 一、医療従事者らに最大20万円の現金給付
 一、雇用調整助成金の上限を1日当たり8330円から1万5000円に引き上げ
 一、地方自治体への臨時交付金を2兆円増額
 一、コロナ対策用の予備費を10兆円積み増し

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政府与党の政策懇談会で発言する安倍晋三首相(右)=27日午前、首相官邸
政府与党の政策懇談会で発言する安倍晋三首相(右)=27日午前、首相官邸

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