日産・ルノー連合、投資4割減=効率化で不振脱却へ 2020年05月27日

 日産自動車、フランス自動車大手ルノー、三菱自動車の3社連合は27日、生産集約などを通じて車両開発に関連する投資額を最大4割削減すると発表した。2300億円超に相当する。連合トップだったカルロス・ゴーン被告失脚後の混乱に加え、新型コロナウイルスの流行で事業環境の不透明感が増している。3社が連携を強めて経営不振から脱する姿勢を打ち出した。
 オンラインで記者会見したルノーのジャンドミニク・スナール会長は「効率と競争力を優先し、それぞれの資産を最大限引き出す」と強調。事業地域や技術分野などの役割分担を明確にし、効率化を加速するとした。 
 具体的には、日本では日産が軽自動車の開発を主導。海外では、日産が中国・北米、ルノーが欧州・南米、三菱自が東南アジアでの事業をリードする。電気自動車(EV)や自動運転などの次世代技術開発でも強みを持つ1社がかじを取る。
 スナール氏は「(日産との)統合の計画はしていない」と指摘。日産の内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は「連合に軸足を置きながら、選択と集中を徹底する」と語った。
 3社連合の販売台数の合計は、2019年に約1015万台と前年から約60万台落ち込み、世界3位に転落。コロナ禍も販売減少に拍車を掛けている。17年に公表した連合の中期経営計画では、22年までに1400万台を目指すとしていた。

 ◇日産・ルノー連合をめぐる動き
1990年代後半 日産自動車が経営危機
  99年 3月 日産とルノーが資本提携に調印
      6月 日産のゴーン最高執行責任者(COO)就任
2000年 6月 日産のゴーン社長兼COO就任
  05年 4月 ゴーン社長がルノー最高経営責任者(CEO)兼務
  15年12月 日産の事業の自立性保持をルノー、ルノー筆頭株主の仏政府と確認
  16年10月 日産が三菱自動車に資本参加
  17年 4月 日産でゴーン会長、西川広人社長兼CEOの体制発足
  18年11月 東京地検が金融商品取引法違反の疑いでゴーン会長(当時)を逮捕
         日産が臨時取締役会でゴーン会長を解任
  19年 1月 ルノーのゴーン会長兼CEOが退任。ミシュラン出身のスナール会長就任
      3月 3社連合の新会議発足を発表
      4月 日産、臨時株主総会でゴーン取締役を解任
      9月 日産の西川社長兼CEOが退任
     12月 日産の内田誠社長兼CEOら新経営陣が発足
         日産ナンバー3の関潤副COOが退社表明
   20年2月 ルノー、19年通期は10年ぶりに純損失転落
      4月 日産、20年3月期に11年ぶり純損失転落の見通し
      5月 三菱自、20年3月期に純損失転落

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オンラインで記者会見した仏ルノーのスナール会長=27日午後
オンラインで記者会見した仏ルノーのスナール会長=27日午後

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