緊急事態、25日にも全面解除=「現状なら可能」と首相―大阪・兵庫・京都は決定 2020年05月21日

 政府は21日、新型コロナウイルス感染症対策本部を首相官邸で開き、流行が落ち着いたと判断した京都、大阪、兵庫の関西3府県で緊急事態宣言を解除した。埼玉、千葉、東京、神奈川の首都圏4都県と北海道では宣言を継続。ただ、安倍晋三首相は25日にも感染状況などを改めて評価し、可能なら31日の期限を待たず宣言を全面解除する方針を明らかにした。
 首相は記者団に対し、残る5都道県について「今の状況が継続されれば(週明けの)解除も可能となるのではないか」と表明した。関西3府県では「感染拡大を防止しながら、社会経済活動を再開する新たな日常が始まる」と指摘。「大阪は商人の町。コロナ時代の新たな商売のモデルを示すことを期待する」と強調した。
 21日の判断に際し、政府は先に公表した「直近1週間の10万人当たりの新規感染者が0.5人以下」との目安を重視。関西3府県に加え、埼玉と千葉もこの基準を満たしていたが、首都圏2県は東京、神奈川と一体的に判断する必要があると判断した。前回、集団感染発生を受けて「条件付き解除」だった愛媛に関しては「感染拡大の兆候は見られない」として解除を維持した。
 政府は3府県解除に合わせ、基本的対処方針を改定。抗原検査キットが今月中旬に薬事承認されたことを踏まえ、PCR検査との役割分担を検討し、伸び悩む検査件数の拡大につなげていく方針を明記した。
 対策本部に先立って、感染症学者らに経済学者も加え構成する基本的対処方針等諮問委員会が解除方針を了承。西村康稔経済再生担当相が衆参両院の議院運営委員会で事前報告した。
 西村氏は「第2波は必ず起こる」と指摘。宣言の再発令について「大きな流行にならないよう厳しい目で判断していく」と述べ、最初の発令時より感染拡大が限定的でも踏み切る考えを示した。 

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マスクを外して記者団とのやりとりに応じる安倍晋三首相=21日午後、首相官邸
マスクを外して記者団とのやりとりに応じる安倍晋三首相=21日午後、首相官邸

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