4月の輸出、21.9%減=10年半ぶり落ち込み―財務省 2020年05月21日

 財務省が21日発表した4月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額は前年同月比21.9%減の5兆2023億円だった。2009年10月に23.2%減を記録して以来、10年半ぶりの落ち込み。米国を中心に、新型コロナウイルスの感染拡大で世界的に経済活動が大きく停滞したことが影響した。
 輸入額は7.2%減の6兆1327億円。この結果、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9304億円の赤字となった。赤字は3カ月ぶり。
 輸出の減少は17カ月連続。国・地域別にみると、対米国が37.8%減の8798億円となり、09年7月(39.5%減)以来10年9カ月ぶりのマイナス幅となった。対欧州連合(EU)は28.0%減、対中国が4.1%減。品目別では、自動車や原動機の減少が大きかった。
 輸入はサウジアラビアからの原油やオーストラリアからの石炭などが減少した。ただ、中国からの輸入は11.7%増と9カ月ぶりの増加。このうち、マスクを含む織物用糸・繊維製品が3.3倍に拡大した。
 財務省は「(新型コロナは)5月も収束しておらず、引き続き影響が出てくる可能性はある」(担当者)と指摘した。 

 ◇4月の貿易統計
        輸出額     輸入額     差引額
総 額   52,023  61,327  ▲9,304
      (▲21.9)  (▲7.2)   ( ― )
〔主要貿易相手別の内訳〕
中 国   11,822  17,348  ▲5,526
       (▲4.1)  (11.7)   ( ― )
米 国    8,798   6,986   1,812
      (▲37.8)   (1.6) (▲75.1)
E U    4,835   6,747  ▲1.912
      (▲28.0)  (▲6.8)   ( ― )
(注)通関ベース。単位億円、億円未満四捨五入。カッコ内は前年同月比増減率%。▲は赤字または減。―は比較できず

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