4月訪日客、わずか2900人=99.9%減、新型コロナで需要喪失 2020年05月20日

 日本政府観光局が20日発表した4月の訪日外国人数(推計値)は前年同月比99.9%減の2900人だった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で大幅に落ち込み、1964年の統計開始以降、初めて単月で1万人を割り込んだ。コロナの衝撃の大きさが改めて示された。
 下落率は3月の93.0%減を上回り、2カ月連続で過去最大を更新した。入国者の多くは日本で在留資格を持つ外国人とみられる。
 各国がコロナ対策で実施している出入国制限などの影響で海外旅行需要が消失。出国日本人数も4月は99.8%減の3900人となった。田端浩観光庁長官は20日の記者会見で「世界的に人の動きが失われている」と指摘した。
 訪日客の国・地域別の内訳は、中国が200人、韓国が300人にとどまり、軒並み99%を超える下落率となった。ドイツやイタリアなどは10人未満だった。 
 欧州などでは移動制限が緩和され、国内でも39県で緊急事態宣言が解除されるなど、足元では経済活動の再開が始まっている。ただ、各国の渡航制限は続いており、海外旅行需要が回復する見込みは立っていない。国連世界観光機関(UNWTO)は20年の国際観光客数が前年比8割減となる可能性を示している。
 国内旅行の状況も厳しい。観光庁によると、3月の日本人国内旅行消費額は前年同月比53.1%減少。政府は予算額1.3兆円のキャンペーンを用意し旅行需要の喚起を狙うが、感染収束が条件となる上、準備期間も考慮すると実施は7月以降となる。観光業界の苦境は当面続きそうだ。

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