ソフトバンクG、赤字1.4兆円=コロナ直撃、投資事業で巨額損―20年1~3月期 2020年05月18日

 ソフトバンクグループが18日発表した2020年3月期連結決算は、純損益が9615億円の赤字(前期は1兆4111億円の黒字)だった。新型コロナウイルス感染拡大による市場混乱で、孫正義会長兼社長が注力する投資事業で巨額の損失が生じた。新型コロナの影響が大きい20年1~3月期に限れば、赤字は1兆4381億円に上る。
 通期での赤字は05年3月期以来15年ぶりで、1981年の創業以来、最大の損失額となった。四半期ベースで見た場合、東日本大震災時の11年1~3月期の東京電力(当時)の1兆3872億円を超え、日本企業として過去最大規模に達した。
 共用オフィスを運営する米ウィーカンパニーへの金融支援や米配車大手ウーバー・テクノロジーズに関連する損失拡大が響いた。保有する株式評価額の引き下げに伴い、孫氏が力を注ぐ運用額10兆円の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」の評価損は約1.9兆円に膨らんだ。
 孫氏は18日の記者会見で「秋から冬に(コロナ)感染第2波の広がりがあるかもしれない」と指摘。投資事業をめぐっては「さらなる評価損が出ないとも限らない」と警戒感をにじませた。また、SVF投資先88社のうち、15社程度がコロナ危機で倒産する可能性に改めて言及した。
 ソフトバンクGは保有資産売却で1年以内に4兆5000億円を調達、自社株買いと財務改善に充てる計画だ。
 20年3月期の売上高は、売却予定企業分を除く継続事業ベースで前期比1.5%増の6兆1850億円。本業の実態を示す営業損益は1兆3646億円の赤字だった。
 21年3月期の業績予想は非公表。配当方針は未定とし、無配になる可能性も残した。 

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オンライン決算記者会見に出席したソフトバンクグループの孫正義会長兼社長=18日午後
オンライン決算記者会見に出席したソフトバンクグループの孫正義会長兼社長=18日午後

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