米失業率、戦後最悪14%=新型コロナで雇用2050万人減―4月 2020年05月09日

 【ワシントン時事】米労働省が8日発表した4月の雇用統計(季節調整済み)によると、失業率は14.7%と前月の4.4%から急上昇し、戦後最悪となった。景気動向を反映する非農業部門の就業者数は2050万人減り、1939年の集計開始以来で最大の落ち込みを記録した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、米経済が深刻な不況に陥っていることを浮き彫りにした。
 雇用拡大はトランプ大統領の看板政策。景気は7~9月期に持ち直し「10~12月期は非常に良くなる」と強気の姿勢を崩していないが、失業急増は11月の大統領選で大きな逆風になりかねない。
 就業者数の減少は2カ月連続。リーマン・ショックが起きた2008年からの10年間を超える景気拡大期に増えた就業者の累計(約2200万人)がわずか1カ月でほぼ失われた。失業率は戦後最悪だった1982年(11、12月ともに10.8%)を超え、大恐慌時の33年の24.9%(年間ベース)に次ぐ水準。好調な米経済を支えてきた個人消費の冷え込みは避けられない。
 就業者の約7割を占めるサービス業が1716万5000人減と深刻さが際立った。外出自粛や営業停止措置により、レストランやホテルを含むレジャー・娯楽は765万3000人減、小売りは210万6900人減。影響は製造業を含め全業種に広がっている。 
 トランプ政権は、約3兆ドル(約320兆円)の経済対策で、中小企業の給与支払いを肩代わりする雇用維持制度を導入。中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)も実質ゼロ金利政策を維持し、景気の早期回復を後押しする。しかし元凶のコロナ禍に終息のめどが立たず、先行きは不透明だ。
 今後は各地で経済活動が段階的に再開するが、飲食や娯楽などの業種では完全な回復は困難との見方が多い。「5月も1000万人規模の失業が見込まれる」(金融大手ING)との厳しい予測も出ている。

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