食料囲い込みけん制=コロナ危機、安定供給確認―G20農相 2020年04月22日

 日米欧や中国など20カ国・地域(G20)の農業担当相は21日、テレビ会議を開催した。新型コロナウイルスの世界的な流行下でも、各国・地域が協調して食料の安定供給体制を維持することで合意した。一部の国が小麦などの輸出を制限しており、食料安全保障の観点からこうした動きをけん制する狙いだ。
 会議は「国際市場での過度な食料価格の乱高下につながり、また食料安全保障を脅かすいかなる不当な制限的措置も行われないよう注意する」とする共同声明を採択して終了した。 
 農林水産省によると、輸出規制を実施しているのは20日時点で13カ国。ロシアが小麦やトウモロコシに輸出枠を設けている他、ベトナムやカンボジアがコメの輸出を規制している。
 農水省は、日本は規制を講じる国への依存度が低い上、食料備蓄も十分あるとして、「影響は出ていない。近い将来も(影響は)予見されていない」(江藤拓農水相)と説明している。
 しかし日本は、農家の減少や消費者のコメ離れにより、カロリーベースの食料自給率が37%と先進国の中でも最低水準にある。コロナ流行の長期化により輸入が途絶える事態になれば、自給率の低い小麦や大豆、家畜の飼料になるトウモロコシを中心に不足し、国民の食生活は逼迫(ひっぱく)しかねない。
 国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)、世界貿易機関(WTO)は3月末、「輸出規制は国際市場の食料不足や価格高騰を招き、低所得・食料不足の国に害を与える」などとする共同声明を発表した。

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20カ国・地域(G20)の農業担当相によるテレビ会議=21日夜、東京・霞が関(農林水産省提供)
20カ国・地域(G20)の農業担当相によるテレビ会議=21日夜、東京・霞が関(農林水産省提供)

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