NY原油、初のマイナス価格=コロナで需要減、米貯蔵余力懸念―売り手が払う事態に 2020年04月21日

 【ニューヨーク時事】週明け20日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、新型コロナウイルスの感染拡大を背景にした経済活動縮小による需要減退や、米原油在庫の積み上がりへの懸念が広がり、史上初めてマイナス価格での取引となった。米国産標準油種WTIの5月物の清算値(終値に相当)は1バレル=マイナス37.63ドル。一時、マイナス40ドルを下回った。売り手が買い手にお金を支払う異常事態だ。
 前週末の清算値(18.27ドル)からの下落幅は55.90ドルに達した。現在の取引の指標となる5月物の売買最終日は21日。最近先物を買っていた投資家は同日までに持ち高を処分しなければ、原油の現物を受け取ることになる。貯蔵余力も乏しくなる中、保管コストなどを嫌った投資家らが期限を前に損失覚悟で一斉に売却に動いた。一方、6月物は前週末比4.60ドル安のプラス20.43ドルにとどまっている。 
 ただ、原油需要減少や米国の貯蔵能力不足への懸念は強い。米エネルギー情報局(EIA)によると、10日時点の米原油在庫は前週比1920万バレル増の約5億バレルとなり、12週連続で増加した。米国の貯蔵能力は計6億5000万バレルとみられ、「上限が意識された」(米エコノミスト)という。
 石油輸出国機構(OPEC)の加盟・非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」は、5月から日量970万バレルの協調減産で合意。米国の生産減少分などを含めた減産規模は同1500万バレルを超える。だが、新型コロナによる経済活動の縮小で需要減は同2000万~3000万バレルに上るとの見方が出ており、減産は不十分との指摘もある。

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