今年の世界成長、マイナス3%=「大恐慌以来の不況」―IMF予測 2020年04月14日

 【ワシントン時事】国際通貨基金(IMF)は14日、世界経済見通しを発表し、新型コロナウイルス危機により、2020年の成長率がマイナス3.0%と、急激に落ち込むとの最新予測を示した。ゲオルギエワ専務理事は「(約90年前の)大恐慌以来の不況」に陥ると警鐘を鳴らしている。21年はプラス5.8%と急回復を想定するが、「下振れリスクが優勢」と注意を促した。
 20年のマイナス成長は、リーマン・ショック後の09年(マイナス0.1%)を超え、IMFが集計を始めた1980年以降で最悪。2月にプラス3.3%から3.2%程度へ下方修正していたが、経済が一気に冷え込み、「短期間で前例のない再修正」に迫られた。
 日本については、東京五輪の開催延期や緊急事態宣言による外出自粛などが響き、20年はマイナス5.2%と、09年(マイナス5.4%)以来の水準に沈む。21年はプラス3.0%に持ち直すと予想した。
 20年は感染者が世界最多の米国がマイナス5.9%、ユーロ圏もマイナス7.5%と先進国は総崩れ。経済活動の再開で先行した中国は1.2%のプラス成長を保つが、各国とも歴史的な落ち込みとなる。いずれも21年は大幅回復を見込んだ。 
 予測は今年後半に感染が終息し、経済活動が正常化するシナリオを前提としている。終息が後ずれし、再び感染が広がった場合、20年の世界成長率はマイナス6%、21年もマイナス2%程度に悪化する恐れがあると警告した。
 IMFは、医療体制の拡充が最優先課題とした上で、家庭や企業への支援など「大規模で的を絞った財政、金融、市場対策が必要」と強調。関税引き下げを含む政策総動員の重要性を訴えた。

 ◇IMFの成長率予想
      20年       21年     
世界全体 ▲3.0(▲6.2) 5.8(2.4)
日本   ▲5.2(▲5.9) 3.0(2.5)
米国   ▲5.9(▲7.9) 4.7(3.0)
ユーロ圏 ▲7.5(▲8.8) 4.7(3.3)
英国   ▲6.5(▲7.9) 4.0(2.5)
中国    1.2(▲4.4) 9.2(3.4)
インド   1.9(▲3.9) 7.4(0.9)
ブラジル ▲5.3(▲7.5) 2.9(0.6)
(注)単位%。カッコ内は1月(世界全体と中国は2月)時点からの改定幅▲はマイナス

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