試行錯誤する企業=出勤7割減、一部は「対応困難」―緊急事態宣言 2020年04月13日

 安倍晋三首相が緊急事態宣言を発令した7都府県の企業に出勤者を7割減らすよう要請している。企業側は在宅勤務の強化や、いわゆる「3密」を避けるための職場環境の整備に試行錯誤。建設など在宅勤務が困難な業種や中小企業からは「対応は難しい」として、戸惑う声が聞かれた。
 「新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、既に原則在宅勤務としており、感覚的には(出勤削減は)7割を超えている」(大手電機メーカー)。首相要請後の週明け13日、電機メーカーや通信、化粧品など大手企業は「出勤7割減」を冷静に受け止めた。
 テレワーク導入済みの企業の一部では、緊急事態宣言を機に在宅勤務を「奨励」から「原則」に切り替えた。ホンダは「出社には部長の事前承認が必要という運用に変えた」。「カメラなど物品購入費や光熱費に充てる特別手当の支給」(フリーマーケット大手メルカリ)といった対策を講じ、在宅勤務がスムーズにできるよう環境を整備。資生堂は「インターネットを使った研修を実施するなどし美容部員も在宅勤務に切り替えた」という。
 どうしても出社が必要な業務についても「社員同士が対面しないように机を交互に並べている」(ネット証券)など工夫する。
 一方、生活インフラの銀行や鉄道、スーパーは、交代勤務などで一度に出勤する人員を絞ってはいるが、「7割削減という目標にはなじまない」(大手銀行)。建設や物流など在宅勤務が難しい業種もあり、「発注者から継続してほしいと言われている工事は続ける義務がある」(大手ゼネコン)とジレンマを抱える。
 東京商工会議所が3月中下旬に実施した調査では、従業員50人未満の企業ではテレワークを実施しているとの回答は14%にとどまった。三村明夫会頭は「在宅勤務が難しければ、人との接触をいかに少なくするか最大限工夫してほしい。ハードルは高いが、達成できれば、(感染者の数は)1カ月間で相当減らせる」と協力を呼び掛けている。 

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