中国軍、台湾・南シナ海で挑発=コロナ感染で「米海軍力低下」 2020年04月11日

 【北京時事】アジア太平洋地域で活動する米海軍空母で新型コロナウイルスの感染が発生し、米軍の即応能力の低下が懸念される中、中国軍による挑発的な動きが続いている。習近平指導部は「米海軍の展開能力が弱まっている」(共産党系メディア)とみて、台湾や南シナ海の周辺で軍事的緊張をさらに高める可能性がある。
 米メディアによると、400人以上の新型コロナ感染が確認されている「セオドア・ルーズベルト」や、横須賀基地(神奈川県横須賀市)を母港とする「ロナルド・レーガン」など計4隻の米軍空母の乗組員から陽性反応が出た。10日付の中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は「ウイルス感染によって米海軍の全世界への展開能力はすでに深刻な打撃を受け、東シナ海、台湾海峡、南シナ海で米軍は対処困難になっている」という軍事専門家の分析を伝えた。
 このところ中国軍は米軍の隙を突くような行動を繰り返している。台湾国防部(国防省)によると、中国軍の爆撃機「轟6」、早期警戒管制機「空警500」、戦闘機「殲11」が10日、台湾の南西からバシー海峡を経て西太平洋に出た後、同じルートを引き返した。中国軍機が台湾周辺を飛行するのは今年6回目。3月16日には台湾周辺で初の夜間飛行を行った。
 南シナ海でも中国が覇権を拡張しようとする動きが目立つ。軍事拠点化を進める南沙(英語名スプラトリー)諸島に3月、「科学研究」施設を設置。ベトナム外務省は4月3日、中国海警局の船舶が西沙(英語名パラセル)諸島付近でベトナム漁船に追突し沈没させたと発表した。
 米軍も南シナ海で「航行の自由作戦」を行い、中国軍をけん制しているが、中国側は強硬な態度だ。環球時報英語版(電子版)は、電磁波によって米軍艦の兵器や制御システムを一時的に使用不能にする「新たなアプローチ」もあり得るという軍事専門家の見解を伝えた。 

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中国軍の戦闘機「殲11」=2015年9月、吉林省長春(AFP時事)
中国軍の戦闘機「殲11」=2015年9月、吉林省長春(AFP時事)
中国軍の爆撃機「轟6」(上)と台湾軍の戦闘機F16=台湾上空、2月10日に台湾国防部が公表(AFP時事)
中国軍の爆撃機「轟6」(上)と台湾軍の戦闘機F16=台湾上空、2月10日に台湾国防部が公表(AFP時事)
10日、米領グアムの海軍基地に停泊する空母「セオドア・ルーズベルト」(AFP時事)
10日、米領グアムの海軍基地に停泊する空母「セオドア・ルーズベルト」(AFP時事)
米空母「ロナルド・レーガン」=撮影日時、場所不明(EPA時事)
米空母「ロナルド・レーガン」=撮影日時、場所不明(EPA時事)

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