新型コロナ経済対策、総額108兆円=6兆円を低所得者、中小に給付―7日閣議決定 2020年04月06日

 安倍晋三首相は6日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、総額108兆円規模の緊急経済対策を実施すると発表した。国内総生産(GDP)の2割に相当し、事業規模は過去最大。首相は「経済に与える甚大な影響を踏まえ、過去にない、強大な規模となる対策を実施する」と述べた。7日に対策に必要な経費を盛り込んだ2020年度補正予算案を閣議決定し、大型連休前の成立を目指す。
 政府はリーマン・ショック後の09年4月に策定した事業規模56兆8000億円を大幅に上回る対策を実施し、経済の悪化を最小限に食い止めたい考えだ。
 108兆円のうち、収入が大幅に減少し、住民税が非課税となる水準まで落ち込んだ低所得者世帯や、中小・個人事業者らへの現金給付は6兆円超を予定。対象世帯には30万円、売り上げが急減した中堅・中小企業には200万円、フリーランスなど個人事業者には100万円を支給する。税金や社会保険の納付猶予は26兆円規模を想定。20年度補正予算案で、新型コロナウイルス感染症対策として、新たに1兆円以上の予備費も計上する。児童手当は子ども1人当たり1万円を上乗せする。
 民間企業の資金繰り支援策として、中小企業が民間金融機関から「実質無利子・無担保」で融資を受けられる制度を創設。中堅・大企業向けは、日本政策投資銀行などの融資を活用する。政府は政投銀に1000億円規模の新たな出資の枠組みを設け、事業拡大を目指す中小、中堅、大企業の財務基盤強化を支援する。
 感染防止策では、治療薬として期待されている抗インフルエンザ薬「アビガン」の臨床研究を拡大し、20年度中に200万人分の備蓄を目指す。人工呼吸器、人工肺の確保も急ぐ方針だ。 
 新型コロナの収束後は、旅行や飲食店、イベントなどで使用できるポイントやクーポンを発行。自粛要請などで大きな打撃を受けた産業の消費喚起に官民を挙げて取り組む。
 緊急経済対策は、▽雇用維持と事業継続▽経済活動の回復▽感染拡大防止▽強靱(きょうじん)な経済構造の構築▽今後への備えの五つが柱。自民・公明両党は6日、与党政策責任者会議を開き、対策の原案を了承した。

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