東京五輪、21年に延期=史上初、安倍首相提案にIOC合意―今夏実施は断念 2020年03月24日

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、今年7月に開幕する予定だった東京五輪の延期が開会式4カ月前に当たる24日、決まった。安倍晋三首相らが国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長と電話会談を行い、五輪とパラリンピックを「1年程度延期し、遅くとも2021年夏までに開催すること。年内開催は不可能」との認識で一致した。
 1896年アテネ大会から始まった近代五輪が、夏季冬季を通じて開催年を延期するのは史上初めて。感染の終息が見通せないことから、予定通りの開催は断念した。8月25日に開幕予定だったパラリンピックも初の延期となる。
 五輪は世界最大のスポーツイベント。戦争以外による初の大会中止は回避されたが、疫病による日程変更という未曽有の事態となった。開催日程の全面的な変更や競技会場の確保、スポンサーの継続可否など多くの課題があり、延期開催の手続きは容易ではない。
 パラリンピックは開会式翌日からの12日間で実施され、史上最多規模の選手参加が見込まれていた。競技会場の確保や代表選考のやり直しなど、五輪同様の問題を抱えた。
 24日の電話会談では、大会の中止がないことを確認するとともに、安倍首相が「選手のコンディションと観客の安全確保を目的に、1年程度の延期を軸とした検討」を提案した。バッハ会長は「100%同意する」と応じたという。開催時期については未定だが、会場が使用可能かどうかを精査した上で決定。酷暑の夏を避ける可能性もあるという。 
 20年東京五輪の開催は13年のIOC総会で決定。戦後の復興を推進した64年東京五輪以来の実施は、経済効果が期待された。しかし開催準備の過程で大会エンブレムや新しい国立競技場のデザイン、マラソン・競歩会場の札幌移転など数々のトラブルに直面。開催延期はそれらを上回る難問となる。中止の場合に比べれば、延期の選択肢は大会組織委や東京都が受ける経済的なダメージが軽減されるが、新たに発生する多額の経費をどう賄うかが問題となる。
 4年に1度の舞台を目指してきた日本の選手や関係者への影響は甚大で、国内競技団体は代表選考や強化方針の見直しを迫られる。

 ◇安倍首相・IOC会長の電話会談ポイント
 一、東京五輪について中止はないと確認
 一、年内開催は不可能との認識で一致
 一、安倍晋三首相、1年程度の延期を提案
 一、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が同意
 一、遅くとも2021年夏までの開催で合意

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IOCのバッハ会長との電話会談を終え、記者団の取材に応じる安倍晋三首相=24日夜、首相公邸前
IOCのバッハ会長との電話会談を終え、記者団の取材に応じる安倍晋三首相=24日夜、首相公邸前

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