頼総統「中国は台湾代表せず」＝併合反対、与野党団結訴え―双十節で演説 2024年10月10日 12時47分
【台北時事】台湾の頼清徳総統は１０日、辛亥革命を記念する「双十節」（建国記念日）の式典で演説し、中台関係について「中華人民共和国（中国）に台湾を代表する権利はない」と表明した。中国は台湾を自国領とする根拠の一つとして、国連における「中国の代表権」を挙げており、頼氏はこれを明確に否定した形だ。
５月に就任した頼氏が双十節で演説するのは、今回が初めて。「祖国統一」を掲げる中国は頼氏を「台湾独立派」と敵視しており、演説に反発し軍事的威嚇を強める可能性がある。
頼氏は演説で「国家主権を堅持し、侵犯と併合を許さない」と強調。武力による台湾統一の可能性を排除せず、軍事的圧力を強める中国の習近平政権をけん制した。「中華民国（台湾の正式名称）はすでに台澎金馬（台湾本島と各離島）に根を下ろしている」とも述べ、中国とは「互いに隷属しない」と重ねて主張した。
また、台湾海峡の平和と安定に向け、現状維持へ努力することや、中国と対等な立場での対話と交流を求めていく方針に「変わりはない」と述べた。
演説では、最大野党・国民党への配慮も目立った。国民党のルーツとなった勢力が辛亥革命によって清朝を打倒し、中華民国が成立した歴史に言及。「民主の夢」が共通の信念だとして、台湾の民主主義を守るため党派を超えて団結するよう訴えた。
一方、式典への出席を予定していた国民党の馬英九元総統は１０日朝、突如「頼総統は台湾独立を追求している」と表明。式典を欠席した。
台湾国防部（国防省）は１０日夜、人工衛星を搭載した中国のロケットが台湾上空の大気圏外を通過し西太平洋に向かって飛行したと発表した。頼政権は、演説を受けて中国が台湾周辺で大規模軍事演習に踏み切ることを警戒している。