中朝関係、続く「隙間風」=6日、国交樹立75年―連帯アピールも不信感 2024年10月05日 15時17分

中国の習近平国家主席(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(AFP時事)
中国の習近平国家主席(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(AFP時事)

 【北京、ソウル時事】中国と北朝鮮は6日、国交樹立から75年の節目を迎える。朝鮮戦争(1950~53年)を共に戦い「血で固めた友情」を誇ってきた両国だが、最近では北朝鮮のロシア傾斜などを背景に、中朝間に「隙間風」が吹く状態が続いている。
 「両国の親善協力関係がより強化、発展すると信じている」。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は1日、中国の国慶節(建国記念日)に合わせ、習近平国家主席に祝電を送った。
 中朝は今年を「友好年」と位置付け、各種の記念行事を計画。表面的には変わらぬ連帯をアピールするが、その内実は「関係がかなり悪化している」(韓国国家情報院)とみられている。
 正恩氏は昨年9月、コロナ禍後初の外遊先として中国ではなくロシアを選び、今年6月にはプーチン大統領が北朝鮮を訪れた。一方、中国からは4月に共産党序列3位の趙楽際・全国人民代表大会常務委員長(国会議長)が訪朝したきりで、その後目立った高官の往来は伝わっていない。国交樹立記念日に合わせた中朝首脳の対面会談も一部でささやかれていたが、現時点で実現する気配はない。
 北京の外交筋は、7月下旬に発生した北朝鮮の豪雨災害を巡り、プーチン氏が正恩氏に支援を申し出た一方、習氏は見舞いのメッセージを出した形跡がなく、中朝関係の冷え込みを示していると指摘。また、中国の王亜軍・駐北朝鮮大使は9月、北朝鮮建国76年を祝う行事を欠席した。中国外務省は「王大使は中国で休暇中だ」と説明したが、重要行事がある時期にあえて任地を離れたこと自体が異例との見方もある。
 北朝鮮の後ろ盾を長年務めてきた中国は、ロ朝の接近で中国の北朝鮮に対する影響力が低下したり、朝鮮半島情勢が不安定化したりする事態を懸念しているとされる。対する北朝鮮は、5月にソウルで開催された日中韓首脳会談や、中国が北朝鮮労働者の受け入れに慎重になっていることに不信感を抱いており、当面はロシアへの接近を続ける方針とみられる。 

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