残り1カ月「歴史的接戦」=ハリス氏、資金力で優位―トランプ氏、移民問題で猛攻・米大統領選 2024年10月04日 14時55分
【ワシントン時事】11月5日投開票の米大統領選まで5日で1カ月。女性初の大統領を目指す民主党のハリス副大統領(59)と、返り咲きを狙う共和党のトランプ前大統領(78)の攻防は、「歴史的接戦」(選挙分析サイト)の様相を呈する。候補者討論会など直接対決の主要行事を終え、両陣営は戸別訪問や電話掛けの「地上戦」でラストスパートに入った。
「うそつきハリスを倒す」。3日、トランプ氏が中西部ミシガン州の集会で気勢を上げると、ハリス氏は同ウィスコンシン州の演説で「(トランプ氏を)二度と大統領にしてはならない」とやり返した。
政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」がまとめた各種世論調査の全米平均支持率では、3日現在、ハリス氏が49.1%でトランプ氏の46.9%に2.2ポイント先行。トランプ氏は2020年大統領選の同時期、対立候補のバイデン大統領に7.8ポイント、16年はクリントン元国務長官に3.2ポイント後れを取っており、終盤情勢は過去2回よりも僅差だ。東部ペンシルベニアや南部ノースカロライナなど、激戦7州での差はいずれも2ポイント未満にとどまる。
ハリス氏陣営はこれまでに6億7800万ドル(約995億円)の選挙資金を集めた。トランプ氏の3億1300万ドル(約459億円)を大きく上回り、広告展開や動員力で優位にある。
ただ、黒人やヒスパニック系など伝統的な民主党の支持層で、ハリス氏の支持率は4年前のバイデン氏の水準に届いていない。ハリス氏は一部共和党を含む超党派の「反トランプ連合」結成に奔走。不法移民対策で厳しい国境管理を打ち出すなど、中道右派の取り込みも意識した発信に努めている。
トランプ氏は28年大統領選への出馬を否定し、「最後の戦いだ」と支持層を鼓舞。移民増を最大の争点に据え、「ハリスが国境を開放した」と攻勢を強める。だが陣営は今回、戸別訪問などに当たる地上戦部隊の指揮を党ではなく外部組織に依頼。「激戦州での活動に勢いが見られない」(政治専門紙ヒル)と指摘される。
10月に入り、イランがイスラエルをミサイル攻撃するなど中東情勢が緊迫化。さらに巨大ハリケーン「ヘリーン」は米南部に甚大な被害をもたらした。いずれも選挙戦に影響を及ぼす可能性があり、最後の1カ月は波乱含みだ。