英、インド洋の戦略要衝返還=モーリシャスに、基地使用は継続 2024年10月04日 05時56分

インド洋のチャゴス諸島・ディエゴガルシア島の基地から飛び立つ米軍爆撃機=2001年10月(AFP時事)
インド洋のチャゴス諸島・ディエゴガルシア島の基地から飛び立つ米軍爆撃機=2001年10月(AFP時事)

 【ロンドン時事】英政府は3日、インド洋のチャゴス諸島をモーリシャスに返還すると発表した。2年間の交渉の末、両国政府が合意に達した。英国は軍事戦略的な重要性から同諸島を領有。同諸島最大のディエゴガルシア島には米英軍の基地があり、合意では99年間の使用継続を認めた。
 チャゴス諸島は1965年、インド洋に基地を確保したい米国の意向を受け、英国の植民地支配下にあったモーリシャスから分離された。モーリシャスが独立した68年以降は英領となり、基地建設のため全住民約2000人が強制移住させられた。
 国際司法裁判所(ICJ)は2019年2月、英国の統治を違法と認定し、英政府に「できる限り早期に統治を終わらせる義務がある」と勧告していた。
 ディエゴガルシア島の基地は、91年の湾岸戦争や01年の米同時テロ後のアフガニスタン攻撃などで、爆撃機の重要な出撃拠点となった。
 スターマー英首相は3日、モーリシャスのジャグナット首相と電話会談し、基地の継続的運用を保証した合意の重要性を強調した。バイデン米大統領も「自由で開かれたインド太平洋を守る上で、英国やモーリシャスとの強力なパートナーシップが続くことを期待する」との声明を発表した。 

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